へちまの由来
2017年01月08日 更新
今日から今年の外来が始まりました。同時に精神障がい者グループホーム「へちま」が本格オープンしました。へちまの名前の由来について記します。
「世の中は何のへちまと思へども ぶらりとしては暮されもせず」という狂歌があります。この歌にちなんで名づけられた一膳飯屋へちまが、大正時代の東京谷中にありました。僕がそれを知ったのは「大正自由人物語」という本からです。1988年新潟大学1年生の時、萬松堂で見つけました。へちま店主は民衆芸術家の望月桂という人で、大正デモクラシーの自由人が集まったということです。僕が憧れるアナーキーなアジトだったらしく、僕はその本を興奮して読み、たくさんの線引きや書き込みをしてもちろん今も手元にあります。
植物としての糸瓜は何の役にも立たないように思われていますが、古く去痰薬や利尿薬として用いられてきましたし、今でもヘチマコロンという化粧水として販売もされています。また、実は乾燥させるとたわしや靴の中敷きとして利用されます。ただ軒先にぶらりとしているだけではないのです。
新潟大学に入る前、大阪の居酒屋でバイトをしていたこともあり、医学部生でありながら、なぜかいつかへちまと名のつく店(診療所ではない)を構えたいと夢見たのでした。あれから28年、ようやく夢はかなったのでした。